数あるディズニー作品の中で初めて実在人物をヒロインにしたのが、1995年制作のアニメ映画『ポカホンタス』。インディアン酋長の娘ポカホンタスと、イギリス人冒険家ジョン・スミスとの悲恋を描いたロマン作品です。
ディズニーアニメ作品の第1次黄金期の真っ只中につくられた作品ながら、あまり目立つことがない『ポカホンタス』。そのあらすじと史実との違いについてまとめました。
目次
アニメ映画『ポカホンタス』のあらすじ
『ポカホンタス』のあらすじを簡単に紹介すると・・・。
6. #Pocahontas – I relate to Pocahontas because we both love and want to protect nature and animals.🌱
We are both curious and a bit indecisive, and we also both live in the woods. 🦝🌻🦜 pic.twitter.com/yycsLG5rCL
— Tiara ☀️🌻☀️ (@Tiara_Princess7) July 13, 2021
もしもあなたと出会わなければ、
永遠に迷子だった♡
【ポカホンタス】 pic.twitter.com/HTzyvsmnm6ディズニー
— ディズニーの胸打つ名言 (@Disneymuneutsu) July 15, 2021
君を知らずに100年生きるくらいなら、
明日死んでもいいくらいだ★【ポカホンタス/ジョン・スミス】 pic.twitter.com/yuqVmgRJ4U!!!
— 勇気をくれた♪ディズニーの言葉たち♪ (@yuukiwokuretadi) July 8, 2021
ディズニー作品の中でも唯一と言われている結末を迎えるプリンセス、ポカホンタス。感動のラストは涙なしには見られません。
ディズニーの自信作ではあるけれど
ディズニーアニメには第1次黄金期というのがあります。一般的に1989年の『リトルマーメイド』から1999年の『ターザン』あたりまでを指します。
- 『リトル・マーメイド』(1989)
- 『ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!』(1990)
- 『美女と野獣』(1991)
- 『アラジン』(1992)
- 『ライオン・キング』(1994)
- 『ポカホンタス 』(1995)
- 『ノートルダムの鐘』(1996)
- 『ヘラクレス』(1997)
- 『ムーラン』(1998)
- 『ターザン』(1999)
確かに蒼々たる顔ぶれ。今でも名作として愛されている作品ばかりです。
26 years ago, ‘Pocahontas’ premiered in theatres.
Pocahontas is the first Disney Princess to be based off of a historical figure. pic.twitter.com/lyXo7U5vE6
— Disney Princess Facts (@DPrincess_Facts) June 23, 2021
『ポカホンタス』はディズニーが乗りに乗っている時に制作された自信作でした。作品としては素晴らしい仕上がりで、アラン・メンケン作曲の音楽はアカデミー作曲賞を、また主題歌となった「Colors of the Wind」はアカデミー歌曲賞を受賞するなど、数々の賞を受賞し、高い評価を受けました。
でも名作アニメ『ポカホンタス』があまり表舞台に出てこないのは、残念ながら公開当初から多くの批判に晒されてきたからです。
史実との違いによる批判
『ポカホンタス』をフィクション作品として観れば、メッセージ性のある素敵な作品です。しかしいくつかの点で”史実とかけ離れている”という指摘を受けており、インディアンおよび先住民問題に関わる非インディアンの個人や団体から批判・クレームが出されました。
史実と違うという指摘があった点には次のようなものがあります。
インディアンの酋長は刑罰を与えない
ポカホンタスの逸話は、実在する冒険家ジョン・スミスによって広められました。
ポウハタン族の村に連行されたジョン・スミスはポウハタン酋長の命により百叩きの刑で殺されるところでしたが、酋長の娘であるポカホンタスが助けるよう懇願したおかげで命拾いをしました。
しかし史実によれば、当時ポウハタン族とは和平関係にありました。またインディアン社会に処刑を命じるような権力を持つものは存在しない、ということが明らかになっています。
ポカホンタスとジョン・スミスが接点を持っていたのは事実でも、彼の数々の逸話の多くはフィクションだと言われています。
ポカホンタスとジョン・スミスの恋愛はありえない
実在のジョン・スミスはポカホンタスと出会い、命を救われたという話を、17年ほど経ってから初めて発表しました。その時にはすでにマトアカは亡くなっていました。
ポカホンタスがジョン・スミスと出会った当時の年齢は10~11歳で、アニメ作品の年齢設定とはかなり違います。
同年齢くらいであればロマンスがあったかもしれませんが、植民地の監督官として赴任したジョン・スミスはすでに中年の域に入っていたため難しいかもしれません。
”サベジス”の連呼が侮辱的
『ポカホンタス』の音楽は数々の賞に輝きましたが、挿入歌の一曲に「サベジス」という歌があり、戦いのシーンなどに”サベジス”が連呼されます。
これは直訳すると”野蛮人”の意。物語の中でインディアンを”野蛮人”扱いしているのは事実の歪曲だという抗議の声が関係団体から挙がっています。
また、劇中の”汚らわしい異教徒”などの台詞も批判の対象となりました。
ポカホンタスの実像
”ネイティブアメリカンの姫”と呼ばれ、大英帝国へ渡りジェームズ1世に謁見までした国際的有名人のポカホンタス。実際にはあまり幸せとは言えない生涯でした。
白人による入植を推し進めるために人質にされた経緯があり、キリスト教に改宗された上に通訳をさせるために英語を学ばされました。
また、ヴァージニアにタバコ会社を設立した白人のジョン・ロルフと結婚したのも、インディアンと白人との和平の意味合いが強かったと言われています。
Celebration of Women’s History Month
March 26, 2021 highlight: Pocahontas, Powhatan Native American Princess
Born around 1595, named Amonute at birth, Pocahontas went by the name of Matoaka. At a young age, she had notable interactions with the Jamestown, Virginia colony. pic.twitter.com/N26GDUpFLa
— Anthony Cook, Ed.D. (@AQPresidentCook) March 26, 2021
ロルフとともに大英帝国に渡ったポカホンタスは、アメリカに戻る船旅の途中で病気にかかり、23歳で亡くなっています。
ポカホンタスの墓は聖ジョージ教会にありましたが、教会の改装の折りに取り壊されてしまいました。現在は教会前に銅像が設置されています。
Pocahontas Statue, Gravesend pic.twitter.com/HbbjoLpdiT
— Roger (@cnocgeal) March 6, 2016
おわりに
以上、ディズニーアニメ『ポカホンタス』のあらすじと、史実との違いについてのまとめでした。
『ポカホンタス』は自然を愛し自然と共に生きる魅力的なヒロインを誕生させた素晴らしい作品です。だからこそ、史実との違いや物語の背景についてできるだけ正しく理解した上で鑑賞することが重要です。